「残業はしなくて良いから、途中で切り上げて帰ってね」
「大変そうだから、責任のある仕事はこっちで巻き取っておくよ」
コンプライアンス遵守や働き方改革が進む中、こうした部下への気遣いが、かえって本人の成長機会を奪ってしまう「ホワイトハラスメント(ホワハラ)」が注目を集めています。
マイナビが実施した「中途入社1年以内の社員に聞いた“ホワイトハラスメント”に関する調査」から、そのリアルな実態が見えてきました。
1. 認知度は約6割。若手・中堅ほど敏感
中途社員の56.9%が「ホワイトハラスメント」という言葉を認知しており、年代別では30代(60.7%)、20代(59.4%)で特に高い結果となりました。自身のキャリア形成に敏感な層ほど問題意識を持っています。
2. 7人に1人が「過剰な配慮」を経験
職場でホワハラだと感じた経験がある人は13.6%。寄せられた声には、悪意のないすれ違いが目立ちます。
- 成長機会の喪失:「先輩が先回りして業務をすべて終わらせてしまった」「責任のある仕事を任せてもらえず、定時退社を促される日々に虚しさを覚えた」
- 本人の意思を無視した配慮:「健康診断や出産の面で大変だろうと、事前の確認なく昇進を見送られた」「仕事が途中なのに定時だからと強制的に帰らされた」
3. ホワハラ経験者の7割以上が「1年以内の転職」を希望
深刻なのは離職への直結度です。ホワハラ経験者のうち、1年以内に転職したいと答えた人は71.4%に達し、未経験者(48.1%)を23.3ポイントも上回りました。
即戦力として期待され入社したはずの中途社員が、「このままでは成長できない」という焦りから、わずか1年足らずで再び外へ目を向けてしまっています。
なぜ「ホワイトハラスメント」は起きるのか?
パワハラ防止法の施行以降、労務管理が徹底された一方で、現場には新たな歪みが生じています。
- 「指導=ハラスメント」という誤った恐れ:「厳しく接してハラスメントと言われたくない」という管理職の自己防衛が、必要な指導や負荷を与えない放置(いわゆる“ゆるブラック”化)につながっています。
- 対話のない「一方的な決めつけ」:本人のスキルアップ意欲を確認せず、「中途で不慣れだから楽をさせてあげよう」と周囲が一方的に仕事を抱え込んでしまっています。
特に前者は当協会にもご相談が多いテーマです。
ではどうすればよいかを見ていきましょう。
組織が取り組むべき3つの防止策
「過重労働の防止」と「成長機会の提供」は決して二者択一ではありません。
- 「一方的な配慮」から「合意に基づく支援」へ配慮を決定する前に、必ず本人のキャリア志向を確認します。「どの程度の業務負荷に挑戦したいか」を1on1などで定期的にすり合わせることが不可欠です。
- 「定時強制」ではなく「自律的な時間管理」を促す単に業務を取り上げて帰宅させるのではなく、限られた所定時間の中でどのように優先順位をつけ、成果を出すかを考えさせる指導へシフトします。
- 管理職への「適切な育成・指導」スキルの再教育「ハラスメントをしない=何も言わない・任せない」ではありません。正当な業務上の指導や適度なストレッチアサイン(背伸びした課題付与)はハラスメントに当たらないことを管理職に正しく周知する必要があります。
まとめ
ホワイトハラスメントの最大の難しさは、「周囲が良かれと思ってやっている」点にあります。
職場環境の健全さを追求するあまり、社員の成長意欲や働きがいを奪っていないか――。日常のコミュニケーションが「一方的な押し付け」になっていないか、見つめ直すことが求められています。
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