企業のハラスメント対策として、相談窓口の整備は欠かせません。しかし、相談窓口が設置されていても、従業員が実際に利用するとは限りません。
エン株式会社が2025年10月3日に発表した「ハラスメントに関する実態調査」では、ハラスメント経験者の31%が「誰にも相談していない」と回答しました。
相談しない理由は「解決への期待の低さ」
同調査で、ハラスメント経験者が相談した相手として多かったのは「上司」(32%)、「同僚」(25%)でした。
一方、「誰にも相談していない」は31%。特に男性では37%と、女性の23%を上回りました。
さらに、誰にも相談しなかった理由として最も多かったのは、「相談しても解決にならないと思ったから」という回答でした。
この結果からは、相談先の有無だけでなく、相談することによって状況が改善するという期待を持てるかどうかも、重要な課題であることがうかがえます。
相談窓口を「知っている」と「利用できる」は違う
企業として考えたいのは、相談窓口の周知だけで対策が完了していないかという点です。
例えば、従業員は次のようなことを理解できているでしょうか。
- どのような段階で相談してよいのか
- 相談した後、どのような手順で対応が進むのか
- 相談内容やプライバシーがどのように保護されるのか
- 相談を理由とした不利益な取り扱いを防ぐ仕組みがあるか
相談への不安を減らすためには、制度の説明だけでなく、実際の対応手順を分かりやすく伝えることも大切です。
日頃の上司の対応も、相談しやすさを左右する
相談窓口と同様に見直したいのが、日常の職場での関わり方です。
例えば、部下が小さな困りごとを伝えたとき、上司がどのように受け止めているでしょうか。
「それくらい自分で何とかして」
「気にしすぎじゃない?」
こうした反応が繰り返されれば、部下は次第に相談をためらうようになるかもしれません。
まずは話を遮らずに聴き、事実と本人の受け止めを整理すること。そのうえで、必要に応じて適切な相談先につなぐことが重要です。
相談件数の少なさだけで判断しない
相談件数が少ないからといって、ハラスメントが起きていないとは限りません。
企業には、相談窓口の利用状況だけでなく、従業員が相談しやすいと感じているか、相談後の対応を信頼できるかといった視点も必要です。
「相談窓口がある職場」から「安心して相談でき、適切な対応につながる職場」へ。
ハラスメント防止の実効性を高めるために、制度と日常のマネジメントの両面から見直していきたいものです。
参考資料・引用元
エン株式会社「ハラスメントに関する実態調査」
公表日:2025年10月3日
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