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カスハラの背景に「顧客対応の遅れ」71.2%――企業に求められる予防と対応の両面対策

カスハラの背景に「顧客対応の遅れ」71.2%――企業に求められる予防と対応の両面対策

カスタマーハラスメント(カスハラ)対策では、暴言や不当な要求から従業員を守る仕組みづくりが重要です。
一方で、カスハラに発展するきっかけには、企業側の対応やサービスの問題が関係している場合もあります。

厚生労働省の委託調査から、カスハラの発生を未然に防ぐために企業が見直したい課題を考えます。

カスハラに発展した原因の最多は「対応の遅延」

2024年度(一昨年の調査ですが、細かく分類されているため2024年の調査を使います)に実施された厚生労働省委託事業「業種別カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル スーパーマーケット業編」では、カスハラに発展した原因を把握している企業66社に対し、その原因を複数回答で尋ねています。

結果は次のとおりです。

カスハラに発展した原因割合
顧客対応・サービス対応等の遅延71.2%
対応者の説明・コミュニケーションの不足63.6%
商品の品質不良56.1%
対応者の誤った説明39.4%
商品・対応者の不備が確認された事案はなかった33.3%
その他9.1%

※複数回答。調査対象はカスハラに発展した原因を把握しているスーパーマーケット業界の企業66社。

注目したいのは、「対応の遅延」と「説明・コミュニケーションの不足」が上位を占めていることです。

顧客の不満は、商品やサービスそのものだけでなく、その後の対応によっても大きくなる可能性があります。

一方、33.3%の企業は、商品や対応者に不備が確認されなかった事案も挙げています。顧客対応を改善するだけでは防ぎきれないケースがあることにも注意が必要です。

顧客対応の改善がカスハラ予防につながる

この調査結果から、企業が見直したいポイントは大きく3つあります。

① 対応の遅延を防ぐ仕組み

問い合わせや苦情への対応が長引く場合、顧客が状況を把握できず、不満を募らせることがあります。
担当者間の情報共有や責任者への引き継ぎ方法を整え、回答までに時間を要する場合には、理由や見通しを適切に伝えることが重要です。

② 説明・コミュニケーションの質

企業側は十分に説明したつもりでも、顧客に正しく伝わっているとは限りません。
伝わったつもりになるのではなく、顧客が何に困り、何を求めているのかを把握したうえで、分かりやすく説明する力が求められます。
高齢者で認知機能の衰えにより、こちらの説明が届いていないケースも多いです。

また、特に、要望に応えられない場合には、理由を丁寧に説明し、可能な対応を具体的に伝えることが大切です。

③ 誤った説明を防ぐ従業員教育

担当者によって説明内容が異なったり、誤った案内をしたりすると、企業への不信感につながります。
商品・サービスに関する知識の習得に加え、判断に迷う場合の確認方法や、回答できない場合の適切な対応についても教育する必要があります。

顧客対応の不備があっても、カスハラが正当化されるわけではない

ここで重要なのは、企業側の不備と顧客の言動を分けて考えることです。

たとえ商品に問題があったり、対応が遅れたりした場合でも、暴言や脅迫、長時間の拘束、不当な要求などが許されるわけではありません。

正当な苦情には誠実に対応する一方で、社会通念上許容される範囲を超える言動に対しては、従業員を守るための対応が必要です。
また、顧客対応の改善を従業員個人の努力だけに任せることも適切ではありません。

対応マニュアルの整備、責任者への引き継ぎ基準、複数人で対応できる体制など、組織として支える仕組みが欠かせません。

カスハラ対策は「予防」と「従業員保護」の両面から

カスハラ対策というと、悪質な顧客への対応方法に注目が集まりがちです。

しかし、問題が深刻化する前の段階で、顧客の不満を適切に受け止め、解決につなげることも重要な取り組みです。

企業に求められるのは、顧客対応の質を高めることと、従業員を不当な言動から守ることを両立させる仕組みづくりです。

そのためには、接遇・コミュニケーション研修による対応力の向上とともに、苦情対応のルールや組織的な支援体制を整備していくことが大切です。

なお、対応の際には、消費者の正当な権利を尊重するとともに、障害のある方への合理的配慮など、法令上求められる対応にも留意する必要があります。


参考資料

厚生労働省(2024年度委託事業)「業種別カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル スーパーマーケット業編」

政府広報オンライン「カスタマーハラスメントとは? 企業に求められる対策」掲載資料

政府広報オンライン掲載の調査グラフ

※本記事の調査結果はスーパーマーケット業界の企業調査によるものであり、すべての業界に同じ傾向が当てはまることを示すものではありません。また、調査で挙げられた原因は、個々のカスハラ行為との因果関係を実証したものではありません。

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