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カスハラ対策の義務化で変わる現場対応――「一人で我慢させない」組織づくりへ

カスハラ対策の義務化で変わる現場対応――「一人で我慢させない」組織づくりへ

2026年10月1日から、企業におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されました。

10月14日配信の長野放送のニュースでは、カスハラに悩む人々の声とともに、長野市のホテルが進める具体的な取り組みが紹介されています。

4時間半に及ぶ苦情対応、勤務時間外の謝罪要求も

ニュースでは、街の人から次のような経験が語られています。

  • 窓口で約4時間半にわたり苦情を受け続けた
  • 勤務時間外の早朝に謝罪を求められた
  • 本来のサービス範囲を超える過剰な要求を受けた

苦情や要望そのものがカスハラに当たるわけではありません。
しかし、要求内容の妥当性や、その実現を求める手段・態様によっては、従業員の就業環境を害するカスハラに該当する場合があります。

長時間の拘束や過剰な要求は、対応する従業員の精神的負担だけでなく、本来の業務にも影響を及ぼします。

ホテルが導入した「一人で我慢させない」対応

長野市の「ホテル国際21」では、10月の義務化に合わせて、カスハラに対する基本方針をフロントやレストランに掲示しました。
さらに、従業員を守るための対応マニュアルを新たに作成し、各部門で共有しています。

その中で示されているのが、次の2つの対応です。

① 一人で我慢しない

苦情を受けた従業員が、自分だけで解決しようと抱え込まないこと。

② 必ず複数で対応する

対応を個人任せにせず、組織として従業員を支えること。

これらは、カスハラ対応を従業員個人の接客能力や忍耐力の問題にしないための重要な取り組みです。

対策のポイントは「発生後」と「発生前」の両方にある

今回のニュースでもう一つ注目したいのは、ホテル側がカスハラを未然に防ぐ応対についても検討している点です。
カスハラ対策では、発生した際に従業員を守る体制を整えることが欠かせません。

一方で、通常の苦情や問い合わせへの対応が適切に行われず、顧客の不満が大きくなるケースも考えられます。
そのため、現場では次の2つを分けて考えることが重要です。

発生後の対応

  • 従業員が相談・報告できる体制を整える
  • 対応を一人に任せず、必要に応じて責任者が引き継ぐ
  • 対応の経緯を記録し、組織として判断する

発生を防ぐための応対

  • 相手の申し出を正確に把握する
  • 事実確認と感情への配慮を分けて対応する
  • できること・できないことを明確に伝える
  • 説明不足や対応の行き違いを減らす

ただし、適切な応対をすれば、すべてのカスハラを防げるわけではありません。従業員の対応に問題がなくても、不当な要求や威圧的な言動が生じることはあります。

だからこそ、接遇力の向上と、従業員を守る組織的な対応の両方が必要なのです。

マニュアルを「現場で使えるもの」にするために

カスハラ対策の方針やマニュアルを整備しても、従業員が実際の場面で判断・行動できなければ、十分に機能しません。
例えば、次のような点を具体的にしておくことが大切です。

  • どのような状況になったら上司に報告するのか
  • 誰が対応を引き継ぎ、どこまで判断できるのか
  • 不当な要求に対し、どのように説明するのか
  • 対応後、従業員の心身の状態をどう確認するのか

実際のケースを使った研修やロールプレイングを通じて、対応の判断基準と役割分担を共有しておくことも有効です。

カスハラ対策は、従業員に「うまく対応する力」を求めるだけでは不十分です。

困ったときに助けを求められ、組織が適切に引き継ぎ、安心して本来の業務に戻れる。
そのような職場環境を整えることが、義務化を機に企業が見直したい重要なポイントではないでしょうか。


参考・出典

NBS長野放送(2026年10月14日配信)

「『4時間半ずっと苦情を受け続け…』『勤務時間外に謝罪の要求』カスハラに悩む街の声 “対策の義務化”でホテルは対応マニュアルを作成『1人で我慢しない』『必ず複数で対応』」

https://news.yahoo.co.jp/articles/06316025425fc706668338d799204ebfaa6ced61?page=1

※ホテルの取り組みや街の人の経験は上記報道に基づきます。「発生後・発生前の対応」「マニュアルを現場で使えるものにするために」は、報道を踏まえた当協会の考察・提案です。

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